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漁業者の声

開発丸便り(その2)

マグロの保冷温度について

 

開発丸では、通常マイナス60℃に設定される魚艙での保冷温度を、一部の魚艙について設定温度を上げて漁獲物への影響や省エネ効果を調べています。平成19年度航海での研究結果は、独立行政法人水産総合研究センターの中央水産研究所・開発センターでの分析と評価が、次のとおりすでに出ています。

 

【マグロ肉の冷凍貯蔵温度と解凍後の品質】

  結果 −40℃、−60℃で冷凍貯蔵したマグロ肉では、解凍後5℃貯蔵中のK値、pH、乳酸含量、a*値(色調)およびメト化率の変化に有意差は無く、

          20℃に1回昇温した場合にも両者に差はなかった。一方、3回昇温した場合、両者間に有意差は認められないものの、−40℃貯蔵のa*値の減少(色調)およびメト化率が−60℃貯蔵よりもやや高い傾向を示した。すなわち、急速凍結した高鮮度マグロ肉を−40℃または−60℃で温度変動を与えずに貯蔵した場合には両者に品質差がないものの、冷凍貯蔵中の著しい温度変動が解凍後の色調劣化に影響する可能性が示唆された。

 

冷凍マグロの取扱いについては、生産現場(漁船)に対して、温度に関係することだけでも次のようなことが求められてきました。

     釣り上げたマグロは体温上昇や暴れによる打ち身防止のため、即座に〆て冷や す。冷凍機は能力いっぱいに運転し、2昼夜は急速凍結室からマグロを出さない。

     魚艙での保管(保冷)温度は、−60℃以下。魚艙内の温度のムラ、運搬船への積替えや水揚げ時外気に触れてマグロの温度が上がることを考えると低ければ低い

   ほど良い。

 

 

マグロの買い手から見て「凍結が甘い」「保冷温度が高い」と判断されればマグロの価格を低くされる恐れがあるので、漁船側では懸命に超低温を追求してきた経緯があります。また、冷凍マグロについて過去の研究成果をまとめたものを見ると、次のようなことが書いてありました。

 

   マグロ肉は1ヵ月程度の短期間であれば、他の魚種の通常の冷凍貯蔵温度である−20〜−30℃程度でも赤いきれいな肉色を保つが、冷凍が半年以上の長期にわたると褐色に 変化してしまう。これは肉色素のミオグロビンが酸化によりメトミオグロビンを生成 するためであり、風味や栄養価にほとんど影響がなくとも商品価値は著しく損なわれ、価格も著しく下落する。冷凍マグロを高価な刺身や寿司だねに使うには、このきれいな赤色を長期に保持することが何としても必要となる。

 

家庭用冷蔵庫のフリーザでは、−20℃まで冷えるとしてもたびたび開け閉めすることから、冷凍マグロの長期保管は無理だということです。冷凍保管中の温度の変化が品質に悪影響を与えることは以前から言われていましたが、はじめに述べた中央水研の研究結果でもそのとおりでした。それでは、魚艙温度−40℃での保管はどうでしょうか。開発丸での実験によれば、今までどおり、釣り上げたマグロのエラ抜き等と急速凍結について、手早くより低い温度で行なうことを心がければ、−40℃での保管でもよい可能性が高いようです。一部の魚艙温度を−40℃に変えた実験を行なった結果でも省エネ効果が出ています。どのくらいの省エネになるかを現在詳細に調べているところです。漁船では発電機をディーゼルエンジンで動かして電気を作り、冷凍機を稼動します。省エネを目指すことは地球温暖化防止に役立ちますから、現在の高品質冷凍マグロの質を落とさずにできる省エネの研究を続けていきます。