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漁業者の声

開発丸便り

酒とまぐろ


遠洋マグロ漁船の生活は、その一日のほとんどを操業に費やされ、ゆっくりと自由に過ごせるのは操業が終わって眠る前のほんの1〜2時間程度だ。


共同生活なのでたいていはベッドで本を読んだり、ヘッドホンを付けてビデオを見たりしながら静かに酒を飲む。肴はやはりマグロ。


ただ、マグロといってもトロとか赤身といった肉の部分ではなく、漁獲処理の段階で廃棄される端材、つまり胃袋や心臓、うきぶくろ、卵巣などの臓物である。端材といっても侮る勿れ、これが驚くほどうまくて酒によく合うのだ。



えら・内臓を取ってキレイに

えら・内臓を取ってキレイにしてます。



特に胃袋のコリコリや心臓の心室部のプルンとした独特な食感は舌を楽しませ、またどれも臭みが無く噛むほどに甘味とコクが広がるのが特徴で、酒がどんどん進む。


肴は船員それぞれが違った料理方法や味付けを持っていて、特に最近はインドネシアなどの外国人船員も多いので彼らの母国料理などいろんな趣向で酒を飲むことも出来る。



またカマや尾の身、目玉の周辺、その他のあまり水揚げされない魚など、漁師たちは美味しい物をよく知っていて、自分のお気に入りの肴を食べるのが船上生活の大きな楽しみのひとつだ。


最近は元マグロ漁師の居酒屋というのをちらほら聞いたり、遠洋マグロの主要な港周辺ではこういった端材も販売している所もあるので機会があればぜひ試してみてはいかが。




通信技術開発の必要性


上述のように、遠洋マグロ漁船の生活も慣れればそれなりに楽しめたりするのだが、一方で乗船して時が経つほどに募るのが遠くはなれた家族や恋人、友人とのつながりだ。


現在インマルを使用した衛星電話での通話は可能だが、通話料金が非常に割高で実際にはあまり使用することができない。


特に経済的に弱い立場にある外国人船員については、家族との連絡はおろか自国のニュースでさえたまにしか入らないのが現状である。



釣揚げられたマグロ

 

釣揚げられたマグロ




遠洋マグロ漁業も冷凍技術や漁労機械の発展で省力化、効率化が進んできたが、船員のこういった私生活面への配慮はほとんど改善されていない。


ネット社会が確立し、ケータイもどんどん進化している時代にこの現状では、我が国の特に若者就業や今後は外国人船員でさえ確保できなくなるだろう。


この問題には労働時間と航海期間の短縮、賃金のアップなどの労働条件の改善が最も重要だが、ここでは船上における定額制の高速通信システムサービスの開発を提起したい。


これに接続できるPCを船内に設置すれば、船員は自由にE-MAILや写真、動画の送受信、自国の情報検索、好きな音楽や動画を受信することなどができるようになり、船員と世間との距離をずっと縮めてくれるだろう。


そしてこれは外国人船員も平等に使用することができ、彼らの母国でのIT産業の普及、発展にも一役買ってくれるのではないかと考えられ、是非とも実現を願う。


開発丸:小椋 康介 (補助調査員)